■現地ガイドエッセイ
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皆さんは、イスラエルの気候は?と尋ねられると、おそらく「暑いところ」「砂漠の国」と答えたくなると思います。
でもイスラエルの北端のバニアス付近まで来ると「え?ここもイスラエルですか」と驚かれるほど水の豊かな、緑あふれる場所がたくさんあります。緑豊かで、水が豊富で、「中東」「砂漠」といったイメージを良い意味で裏切られるところです。
私たち旅行者でも、南部のネゲブ砂漠から死海沿岸やユダの荒野など、暑い乾燥した場所を巡ってきた後、この辺まで来ると「ちょっと一息」つける感じがします。
また、冬から春先にかけて、山頂が真っ白な雪で覆われるヘルモン山(海抜2885m)は、見るものに驚きと感動を与えます。
いにしえのダビデ王も「見よ、兄弟が和合して共におるのは、いかに麗しく楽しいことであろう。…ヘルモンの露がシオンの山に下るようだ」麗しさの象徴としてヘルモン山をうたいました。
イスラエルは地中海性気候に属し、雨季(11~3月)と乾季(4~10月)にはっきりと分かれています。
乾季はずっと天気が続きますから予報が余り必要ない、というより温度予報しかやっていません。年間降雨量が平均600mm(東京が約1800mm)の国ですから、確かに雨は少ないのです。乾季はいつも晴れでいいな…と思うかもしれませんが、何ヶ月も雨がないと不思議と雨(湿度?)を待望するようになります。
雨季の初め(10月から11月はじめ頃)には地中海から黒々とした雲が沸き起こり、雷鳴と共に数時間から数日間の豪雨をもたらします。
そうすると新聞には「昨日の雨でガリラヤ湖の推移が***cm上がった」と大きな記事になり、それを見ながらイスラエル人も一喜一憂しています。
イスラエル北端のバニアスやダンと呼ばれる場所では、こんこんと水があふれ、やがてヨルダン川となってガリラヤ湖へと流れ込んでゆきます。
イスラエルの人々は水に対する憧れが大変に強く、この北部一帯の緑と水に特別な思いがあるようです。
ある春の日の安息日、観光中にガリラヤ湖に流れこむヨルダン川河口にかかる橋の付近で、渋滞がありました。多くの車が川の左右に並び、多くの人が橋から川を眺め、臨時のサンドイッチ屋さんやアイスクリーム屋さんも出て大変な賑わい。見る限り何か特別なイベントがあるわけでもなく、きれいな花畑があるわけでもなさそうです。
聞いてみると、「雪解けで川の水量が増えたから、家族で見に来た…」と嬉しそうに話してくれました。
春先に見られる豊かな水量のヨルダン川、これがピクニックの行き先になる、という水に対する気持ちをお察しいただければと思います。