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~ヨルダン・ハシュミット王国による申請遺産~
ヨルダン政府はエルサレム旧市街を世界遺産として申請し受理されたが、1988年領有権を放棄した。
一方イスラエルはエルサレムを首都と宣言しているが、国際社会がそれを認めないため、「ヨルダンによる申請」という付記が付き、「当事国を持たない唯一の世界遺産」として現在に至っている。
死海沿岸の荒地に立つ、周囲を断崖に囲まれた要塞跡。
紀元66年から始まる対ローマのユダヤ戦争終盤、籠城していた960名が自決するという悲劇の場所となった。
ユダヤ人にとっては、この悲劇を再び繰り返してはならないという、特別の思い入れのある場所である。
なお麓からロープウエイで頂上へ行くことができる。
十字軍時代の要塞が良い保存状態で残っている。
遠くは聖パウロが立ち寄った港町(当時の名は「トレマイ」)でもあり、近くはナポレオンが攻略しようとして包囲するが落せなかった町である。
ヨーロッパで生まれたバウハウス様式が、イスラエルの地中海性気候と砂漠性気候の中で独自の発展を遂げ、イスラエルに帰還する人々のために次々と建てられていった。
特にテルアビブでは白色や明るい色の建築群が今もなお4000軒を数え、20世紀前半の都市計画や建築を考える上で大変に重要な遺産となっている。
ハルザ、マムシート、アブダット、シブタの4つの都市遺跡と6箇所の隊商宿・要塞およびキャラバン交易路などから構成される。
砂漠独自の灌漑施設など、当時の盛んな交易を偲ばせる遺跡や道が織り成す文化的背景を登録したものである。
聖書時代の大変重要な遺跡・要塞都市群。
いずれの都市にも強固な門構えを持つ城壁、苦労して掘ったであろう給水施設や倉庫跡などが残っている。
これらの都市の重要さと水の大切さが偲ばれる。
ハイファを見下ろすカルメル山上に立つ美しいドームと庭園は、バハイ教の開祖バーブおよび後継者のひとりアブドゥル・バハーの遺体が眠る場所である。その他アッコーも重要なバハイ教聖地として数えられている。 カルメル山西側スロープに広がる洞窟遺跡群には、狩猟から農業・牧畜にいたる50万年に及ぶ人類進化の足跡が残されている。 ~初:パレスチナによる申請~ イエス・キリストの生誕地とされる洞窟の上にある教会(ギリシャ正教、アルメニア教会、カトリック)と 巡礼路が危機遺産(武力紛争、自然災害その他の理由により、普遍的価値を損なうような重大な危機 にさらされている遺産)として登録される。 ★カルメル山の人類進化遺跡群-ナハル・メアロット、ワディ・エル・ムガラ洞窟:(2012年)文化遺産
とりわけ東地中海地方 の先史時代を知るうえで最も重要な遺跡。
ここは出アフリカを果たした化石人類にとって、重要な通過地点であったと考えられている。
アフリカ大陸外で発見された最も古いホモ・サピエンスの 化石がスフール洞窟(約10万年前)から、一方ヨーロッパ大陸発祥であるネアンデルタール人の化石と生活痕が、タブーン洞窟(約12万年前)から発見されている。
★ユダヤ低地のマレシャとベイト・グブリン-洞窟の地の小宇宙:(2014年)文化遺産
聖書時代にはマレシャと呼ばれ、のちにはローマ時代やビザンツ時代にも栄えたベイト・グブリンの地下に広がる洞窟の遺跡。
メソポタミアとエジプトの交易路に位置したため、2000年以上にわたって発展した文化と歴史を持つ。
石灰岩を切り出した洞窟群、埋葬用の洞穴、ローマ時代の円形劇場、ビザンツ教会の跡などが発掘されている。
★ベイト・シェアリームのネクロポリス-ユダヤ人再興の中心地:(2015年)文化遺産
ハイファの南東約15㎞に位置する、紀元2世紀から4世紀にかけて建設された初期のユダヤ教の地下墓地。
この町は第二次ユダヤ戦争後、ユダヤ教の一大中心地となった。
ギリシャ語・アラム語・ヘブライ語などで書かれた絵画や碑文なども残り、ユダヤ再興の歴史を伝える重要な遺跡となっている。
★イエス・キリストの生誕地-ベツレヘムの聖誕教会と巡礼路:(2012年)文化遺産
★オリーブとワインの地-エルサレム南部バティールの文化的景観:(2014年)文化遺産
~パレスチナによる申請~
何千年もの昔に造られた段々畑と灌漑システムを、現代にいたるまで人々が利用し、整備し続けてきた。
古来よりオリーブとブドウの生産が盛んで、人と自然の共同作品として段々畑の文化的景観を構成している。
★ヘブロン-アル・ハリール旧市街:(2017年)文化遺産
~パレスチナによる申請~
ヘブロンは旧約聖書に登場する父祖アブラハムが埋葬されているため、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の3つの宗教にとって聖地となっている。アブラハム、イサク、ヤコブの墓があるマクペラの洞窟が見どころ。パレスチナによる申請は3件連続で、危機遺産としても登録されている。